新築時の住宅ローン控除の居住要件について

先日、確定申告相談会場で住宅ローン控除の適用可否について質問がありました。

「令和3年中に住宅を購入した。昨年の相談会場での相談時には住民票を新居に変更していなかったため、「その状態では住宅ローン控除ができない」と言われた。令和4年に住民票を異動したため、住宅ローン控除の申告をしに来た。できれば、令和3年分にも控除を適用したい」

とのこと。新規の住宅ローン控除の相談については税務署職員が対応するルールになっているため、内容を引き継いだのだが、違和感を感じたため以下のとおり考察する。

新築時の住宅ローン控除を適用するためには以下の居住の要件がある。

「個人が、住宅ローン等を利用して居住用家屋の新築もしくは取得または増改築等をした日から6か月以内にその者の居住の用に供しかつその年の12月31日まで引き続きその者の居住の用に供していること」

1「住民票を新居に変更していなかったため・・・控除ができない」

 要件は「居住の用に供し」とある。住民票の異動は単なる手続きであって確実に居住を証明するものではない。もしも令和3年中に居住しているのであれば、それを証明できれば(電気、ガス、水道の使用状況など)要件を満たすことができる。

2「令和3年分にも控除を適用したい」

 いつの年分から適用できるか、については「その年の12月31日まで引き続きその者の居住の用に供していること」とあるため、令和3年の12月31日までに居住していれば令和3年分に適用令和4年1月1日以降に居住していれば令和4年分に適用

3 相談した方はなぜ「令和3年分にも適用したい」と言ったのか?

 これは一つはローン残高の問題と思われる。令和3年末のローン残高よりも令和4年末のローン残高が少ないため、控除総額が少なるなる。つまり損をする、という点。

 もう一つは繰上げ返済の問題と思われる。ローン控除がある間はローン残高が多いほうが有利だが、期間が終了したら繰上げ返済をして全体の金利負担を減らして返済総額を減らす、という点。

4 その他

 論点には出てこないが、令和3年は消費税増税やコロナ対策の関係で契約日によって控除対象期間が変わる、という話がある。内容は省くがそこで使われる用語に「特別特例取得」「特例特別特例取得」「特別特定取得」「特定取得」というものがある。読み手の気持ちや影響範囲の広さがわからない、相当日本語センスや想像力の乏しい方々が揃った結果できあがったと思われる。たくさんの決裁を経て決められるのだから、誰か止めてあげてほしい。もしくは最終決裁者が担当者の考えを無視して「これで行く!」と言ったのだろうが。

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